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2009年2月10日 本編アップ分からの再掲載です。
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『今日はクリームシチュー。でも、ご飯を炊いてないのよ。
美味しいパンを買ってきたから、それで食べて。
ホントに美味しいパンだから!』
帰宅した私にカミサンがこう言う。
見るからに美味しそうなパンがテーブルの上にあった。
「あれ? あのさぁ、●●●●●は無いの?」
・
昔から、想像もつかない場所にモノをしまうのがカミサンの特技です。
時に、かなりイケル隠し方を披露してくれたりする。
何らかの作業中、
忙しさの余り、身に着けていたモノや使っていたモノを
周辺に置きっぱなしにして、そのまま忘れてしまうことがある。
それは誰にでも起きることだが、大概は想像のつき易い場所に
置かれていることが多いと思う。
が、
カミサンの場合はちょっと異なる。
例えば、探しまくった挙句、
食器戸棚の重ねた丼と丼の間から腕時計が出てきても決して驚かない。
実際にあったし・・・。(笑)
無意識の内に他のモノと一緒にしてしまうのである。
・
私の問いかけの後、今晩もモノ探しが始まった。
カミサンは遡って、頭の中で自分の動線を辿っているようだった。
冷蔵庫を皮切りに探索が始まる。
・食器戸棚の中
・米びつの中
・収納BOX
この辺までは並。ここからが本領発揮である。
・玄関
・脱衣所
・ゴミ箱の中
・カバンの中
・ソファに投げられたコートの下
・お祖母ちゃんの部屋
・サンルーム
凄い。(笑)
捜索場所のラインナップを眺める限り、
探しモノは指輪のようなモノか? という印象を持ちそうだが、
今回の捜索品・・・
マーガリンです。
マーガリンが玄関やカバンの中に?
普通は有りえないが、
カミサンの場合、実際に出てきても不思議ではない。
・
・
が、結局、見つからないようだ。
『まぁ、きっといつか出てくるから良いっか』
カミサンは、こう言う。
「ダメ、ダメ。ヘンなところに入って溶け出したりしたらキモチ悪いっしょ。
そもそも、俺が今、パンを食べられないから絶対に探せ!」
私が捜索継続を命ずると、
『あっ!? 香織が部屋にもっていったかもしれない』
そう言って、カミサンは娘と携帯でやり取りし始めた。
『冤罪だ』 と、いうことらしいが、
案の定、娘からは「何言ってるの?」と返されて万策が尽きた様子。
私も待ってられないので、
取りあえず酒のつまみを用意しようと電子レンジの扉を開けた。
あれ!? おい、おい、おい。何、これ? ← Click!
マーガリンそのまま容器ごと入れて、
一体全体カミサンは何をしようとしていたんだろうか?
『ワタシじゃない。絶対に違う!』 と、しきりに言い訳するが、
カミサン以外の家族全員、誰もが犯人を特定できている。
2006年4月17日 本編アップ分からの再掲載です。
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外出から帰宅するとカミサンが家にいなかった。
「そういえばクラス会とか言ってたなぁ」
実はワタクシ、カミサンとは中学校の同級生。
彼女のクラスは結構マメににクラス会を開催しています。
当然その日の帰宅は遅くなる訳ですが、
カミサンにはいつも迷惑を掛けているので、
たとえ朝帰りになろうとも特に文句はつけません。
ギターを弾いて遊んでいると、
日付が変わった直後に携帯が鳴った。
カミサンです。
『今、三次会で品川から深川に戻って●●クンのお店にいるの。
悪いけれど車で迎えに来てくれる?』
これ、クラス会の時はお決まりのパターン。
で、旧友が経営している深川の店まで車を走らせました。
深川は私ら二人が生まれ育った場所で、
今の住まいからは車で1時間弱ほどの距離になります。
到着後、しばし懐かしい友人と会話を交わした後、
カミサンを助手席に乗せて自宅に戻ります。
車を走らせてすぐ、カミサンがつぶやいた。
『今週疲れていたせいかな? そんなに飲んでないけれど
少し酔ってるみたい』
少しだとぉ!?
おい、おい。結構匂ってるじゃん。
『でも大丈夫だから!』
そんなことないよ。
この種類の匂いは明らかに危険な兆候でしょお?
「ヤバかったら、早く言えよ。直ぐにクルマ停めるから」
が、結局間に合わなかった。
『分った・・・』
に続き、間髪置かず
『だめッッ・・・』
そして、促音の「ッ」が消えたと思った瞬間、
『ウッゥッッ・・プ』
という悪魔の声を聞いた。
急停車させたものの一瞬遅かったようで、
わずかに間に合わなかった。
カミサンはドアを開けると同時にリヴァースし、
大半は道路に放出されたものの
ハシリの “一番搾り” の分がしっかりドアの内部に・・・。
直前の言動を悔やんだ。
ここに行き着く前にある場所を通過しており、
それが必然を呼んでしまった気がしたのである。
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19年前のことです。
当時、ワタシたちは今の住まいに転居する前で、
生まれ育った深川にも近い同じ区内に住んでいた。
正月のある日の夕方、
『おとうさんが深川の●●さんのところ(馴染みの寿司屋)で
酔っ払っちゃったらしいのよ。一人じゃ帰れない様子なので、
申し訳ないけれど車で送迎してもらえるかしら?』
カミサンの実家のお義母さんから電話でSOSがあった。
言われるがまま私は店に向かい、お義父さんを介抱して
やっとこさ車に乗せ、隣県にあるカミサンの実家まで
車を走らせたのである。
が、お義父さんは見事に酩酊しており、
不気味なリズムで怪しいシャックリを繰り返していた。
こういう時の予感は実のところ99%確信であり、
走り出して直ぐ、案の定・・・
助手席の悪魔は咆哮と呼ぶに相応しい “恐ろしい音” を響かせた後、
思いっきりことに及んだ。
あの日、あの時、
カミサンのお義父さんは車の「ドア」や「窓」を開く代わりに、
自分の「両ひざ」を大きく開き、
その空間にキモチよ~く大量のお年玉を投下した。
正月だというのに滅茶苦茶悲しい気持ちになり、
自分の隣に座る物体を一刻も早く “納品” したくて、
真冬の首都高を窓全開でぶっ飛ばし、カミサンの実家に向かったのである。
あれ、納車されてまだ一週間の新車だったんだよなぁ・・・。
フロアマットはダメになるし、
しばらく芳香剤の効き目がなくなるほどの・・・。
あぁ、思い出したくない。
そう、思い出したくないはずだったのに・・・
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カミサンが事に及ぶ直前、
クルマはその “お義父さんポイント” を通過した。
私が悔やんだのは、そこでわざわざ車を停め、
「そう、そう、ここだったよ。よ~く覚えてる。
お前のお義父さんの首を絞めてやろうと思ったのは」
こう言ってしまったことである。
要らぬことを思い出したせいで怨念を呼んだに違いない。
でも、二世代に渡って俺に同じ仕打ちするなんてなぁ・・・。
もう伝承芸だろ、これ。
私鉄に乗り換えず、タクシーで家まで帰った。
その時の車内でのやりとり。
※ H:ワタクシ W:カミサン
W: 今はどこもちゃんと節電してるよね。
H: そうだな。
W: この辺りはこの時間でも、もう結構暗くしちゃうみたいだね。
H: そうかぁ?
W: ほら、あのロイヤルホストだって、あんなに暗くなかったでしょ。
カミサンに言われて目を向けたが車は進んでおり
私の位置からはロイホを後部の窓越しに見る格好になった。
いつもと何ら変わりなく見える。
H: 節電って言うほど節電してないんじゃないの?
W: そんなことないよ。ほら、みんな、どの店も暗いもん。
あぁ・・・。
なるほどね。
そういうことか。
H: そう言われてみれば暗く見えるワ。
W: でしょ。
H: 確かに。
W: ほら、あのラーメン屋も暗いし。
H: あぁ、そうだね。
W: ずいぶん徹底してるよね。
H: っていうか、全体的に窓が暗いんだよ。
W: そう、どの店も窓がみんな暗いのよ。
H: じゃ、なくて。
W: 何?
H: お前の目の前が暗いんだよ。
W: ん?
H: その窓がブラックスモークだっていうこと。
W: へ?
カミサンのこのへんの能力には目を見張るものがある。