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2006年4月17日 本編アップ分からの再掲載です。
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外出から帰宅するとカミサンが家にいなかった。
「そういえばクラス会とか言ってたなぁ」
実はワタクシ、カミサンとは中学校の同級生。
彼女のクラスは結構マメににクラス会を開催しています。
当然その日の帰宅は遅くなる訳ですが、
カミサンにはいつも迷惑を掛けているので、
たとえ朝帰りになろうとも特に文句はつけません。
ギターを弾いて遊んでいると、
日付が変わった直後に携帯が鳴った。
カミサンです。
『今、三次会で品川から深川に戻って●●クンのお店にいるの。
悪いけれど車で迎えに来てくれる?』
これ、クラス会の時はお決まりのパターン。
で、旧友が経営している深川の店まで車を走らせました。
深川は私ら二人が生まれ育った場所で、
今の住まいからは車で1時間弱ほどの距離になります。
到着後、しばし懐かしい友人と会話を交わした後、
カミサンを助手席に乗せて自宅に戻ります。
車を走らせてすぐ、カミサンがつぶやいた。
『今週疲れていたせいかな? そんなに飲んでないけれど
少し酔ってるみたい』
少しだとぉ!?
おい、おい。結構匂ってるじゃん。
『でも大丈夫だから!』
そんなことないよ。
この種類の匂いは明らかに危険な兆候でしょお?
「ヤバかったら、早く言えよ。直ぐにクルマ停めるから」
が、結局間に合わなかった。
『分った・・・』
に続き、間髪置かず
『だめッッ・・・』
そして、促音の「ッ」が消えたと思った瞬間、
『ウッゥッッ・・プ』
という悪魔の声を聞いた。
急停車させたものの一瞬遅かったようで、
わずかに間に合わなかった。
カミサンはドアを開けると同時にリヴァースし、
大半は道路に放出されたものの
ハシリの “一番搾り” の分がしっかりドアの内部に・・・。
直前の言動を悔やんだ。
ここに行き着く前にある場所を通過しており、
それが必然を呼んでしまった気がしたのである。
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19年前のことです。
当時、ワタシたちは今の住まいに転居する前で、
生まれ育った深川にも近い同じ区内に住んでいた。
正月のある日の夕方、
『おとうさんが深川の●●さんのところ(馴染みの寿司屋)で
酔っ払っちゃったらしいのよ。一人じゃ帰れない様子なので、
申し訳ないけれど車で送迎してもらえるかしら?』
カミサンの実家のお義母さんから電話でSOSがあった。
言われるがまま私は店に向かい、お義父さんを介抱して
やっとこさ車に乗せ、隣県にあるカミサンの実家まで
車を走らせたのである。
が、お義父さんは見事に酩酊しており、
不気味なリズムで怪しいシャックリを繰り返していた。
こういう時の予感は実のところ99%確信であり、
走り出して直ぐ、案の定・・・
助手席の悪魔は咆哮と呼ぶに相応しい “恐ろしい音” を響かせた後、
思いっきりことに及んだ。
あの日、あの時、
カミサンのお義父さんは車の「ドア」や「窓」を開く代わりに、
自分の「両ひざ」を大きく開き、
その空間にキモチよ~く大量のお年玉を投下した。
正月だというのに滅茶苦茶悲しい気持ちになり、
自分の隣に座る物体を一刻も早く “納品” したくて、
真冬の首都高を窓全開でぶっ飛ばし、カミサンの実家に向かったのである。
あれ、納車されてまだ一週間の新車だったんだよなぁ・・・。
フロアマットはダメになるし、
しばらく芳香剤の効き目がなくなるほどの・・・。
あぁ、思い出したくない。
そう、思い出したくないはずだったのに・・・
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カミサンが事に及ぶ直前、
クルマはその “お義父さんポイント” を通過した。
私が悔やんだのは、そこでわざわざ車を停め、
「そう、そう、ここだったよ。よ~く覚えてる。
お前のお義父さんの首を絞めてやろうと思ったのは」
こう言ってしまったことである。
要らぬことを思い出したせいで怨念を呼んだに違いない。
でも、二世代に渡って俺に同じ仕打ちするなんてなぁ・・・。
もう伝承芸だろ、これ。