2005年から書き始めたブログの別館。本編の再掲載と新しい記事を随時アップしています。
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*写真はイメージ
乗っていた通勤電車の扉がなかなか閉まらない。
丁寧な口調の車内アナウンスが流れてきた。
この先の駅でお客様がホーム上に落し物をされ、
拾得作業のため電車が停止しております。
お客様にはご迷惑をお掛けしておりますが、
発車まで暫くお待ちください。
お急ぎのところを申し訳ありません。
ん?
ホーム上?
離れたところからも「ホーム上?」という
怪訝(けげん)そうな呟きが聞こえた。
慌てんぼうのオバサンが
ガマグチから大量の小銭を撒き散らしたか、
あるいは、
現場に遅刻しそうな朝寝坊のテロリストが
焦って爆弾を落としたか、
電車を止めるほどのホーム上の落し物となると
その条件はかなり限られるはずだ。
ってか、
それって “ホーム上” じゃなくて “線路内” じゃね~の?
当たり前に “線路内” でしょ(笑)
個人的にはちょっと深さのあるツボに入った。
誠実さが伺える声質の車掌さん。
スピーカー越しとは言え、人柄が見えるようだ。
極めて真面目にゆっくりアナウンスしているせいか
逆に “ホーム上” の一言が際立ち、私の頭の中で踊り始めた。
ホーム・・・。
ホーム・・・。
ホーム上・・・。
およそ2分ぐらい経ったろうか、再びアナウンスが流れはじめた。
アクシデントによって電車が停車した後は、
発車直前に必ずお詫びの口上が始まる。
爆弾処理が2分で終わるはずがないので
やっぱり線路内の落し物だったに違いない(笑)
さきほど・・・
車掌さんの声が流れた瞬間、
不思議なことに車内の空気が一体化したように感じられた。
すでに私の頭の中は “ホーム上” という単語カードで埋め尽くされており、
へんな期待が膨らんでいたのだが、
どうやらそれは周囲の乗客も同じだったようである。
このアナウンスを待っていたかのような雰囲気を
車内でヒシヒシと感じる。
また “ホーム上” って言ったら面白いぞ・・・。
これは乗客の期待、いや、もう望みのようなものであっただろう。
電車が遅れた状況を丁寧に伝える車掌さんの穏やかなアナウンスが続く。
キーワードの登場を待つ車内。
なんだろう? この不思議なワクワク感は?
乗客の息を呑む音が聞こえるようだった。
そして・・・
この先の駅でお客様がホーム上に落し物をされ、
拾得のため電車を停止させていました。
ホーム上の拾得作業が終了いたしましたので
この電車もまもなく発車いたします。
お客様にはお急ぎのところご迷惑をお掛けして
まことに申し訳ございませんでした。
息をひそめていた車内の空気がほころんだ。
ホームから転落した人を救出したことを伝えるアナウンスではない。
実際は一つ先の駅で、ただ落し物を拾い上げただけである。
靴の片方かスマホってところだろう。
それなのに、
おぉ、やったぁ!
ぐっじょぶ!
ありがとう!
そんな声無き声が聞こえてくるようだった。
見知らぬ者同士が窮屈な空間に詰め込まれ
普段は無機質な通勤電車内。
それが楽しく思えるのはこういう一体感を得た時なのである。
経験則では、乗降客の多い二つ先の駅で
もう一回アナウンスがあるはずだ。
車内の空気は更に昂揚し、みんなの期待は高まっている。
もう、“ホーム上” の三度目の登場を信じて疑わない
空気が充満している。
予想通り、駅に進入する前にアナウンスが始まった。
ハットトリック目前である。
本日は電車が遅れましたことをお詫びもうしあげます。
この電車は朝の通勤時間帯の混雑と
さきほど発生した落し物を拾得する作業、
また、カサハサミがありました関係で
***駅に約4分ほど遅れて到着いたします。
お急ぎのところまことに申し訳ありません。
えぇっ!?
“ホーム上”が抜けた・・・。
ついに気付いちゃったのか・・・。
残念・・・。
最後に梯子を外された感覚?
あるいは、“ホーム” でのハットトリックを逃した無念からなのか、
電車を降りていく人たちの面持ちは聊(いささ)か消化不良気味に見えた。
が、
私の内心では笑いが続いていた。
箸が転がっただけで笑える状態になっていた私に
車掌さんはもう一つのツボを用意してくれていたのである。
カ サ ハ サ ミ
確かに挟まったんだとは思います。
車掌さんの勝手な体言化に笑いとまらず・・・。
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昨日の朝の通勤時、大物キャストに遭遇。
久し振りに小劇場『電車内』で名演を堪能した。
・
「助かった・・・」
運よく左隣りの席が空いたので席を移動した。
ところが・・・
・
・
場面を巻き戻します。
乗車した私は、いつものように車両連結部近くの三席シートに向かった。
目の前の席は埋まっていて、左から
久し振りに小劇場『電車内』で名演を堪能した。
・
「助かった・・・」
運よく左隣りの席が空いたので席を移動した。
ところが・・・
・
・
場面を巻き戻します。
乗車した私は、いつものように車両連結部近くの三席シートに向かった。
目の前の席は埋まっていて、左から
若い女性 → 初老の男性 → 中年の女性
今回の主役は、このうちの左端の若い女性。
以降、“日本海プレート”あるいは“プレート女”と称しているのは
この若い女性のことである。
吊り革に掴まった私の目の前で爆睡状態の日本海プレートが
初老の男性にもたれ掛かっていた。
今回の主役は、このうちの左端の若い女性。
以降、“日本海プレート”あるいは“プレート女”と称しているのは
この若い女性のことである。
吊り革に掴まった私の目の前で爆睡状態の日本海プレートが
初老の男性にもたれ掛かっていた。
男性は迷惑そうな視線をくれながらそれを払おうとしている。
これ自体はよくある光景です。
が、
今回は様相が違う。
が、
今回は様相が違う。
男性が払っても払っても女性が微動だにしないのである。
繰り返す様子が面白くて暫く密かに笑っていたのだが、
傍目(はため)には男性の対処法が甘いようにも見えた。
が、
無理だと思ったのか、結局、男性はじきに諦めて動きを止めた。
が、
無理だと思ったのか、結局、男性はじきに諦めて動きを止めた。
日本海プレートは寄りかかるというより、
すでに男性の肩の上にしっかり頭を載せている状態で、
いわゆるカップルに相応しい位置関係に収まっている。
見た目には不倫男女の朝帰りである。
二つ先の駅で男性が下車。
二つ先の駅で男性が下車。
これだけ重量を委ねていたら、
男性の肩が外れた時点で普通ならドタッと崩壊するはずである。
男性の肩が外れた時点で普通ならドタッと崩壊するはずである。
が、岩盤は相当に強いのか全く揺るがなかった。
プレート女の頭の傾斜角がきつく、身を入れるには危険な感じもしたが、
プレート女の頭の傾斜角がきつく、身を入れるには危険な感じもしたが、
その威力をちょっと体験してみたくなった私は
思いきって空いた席に座ってみることにした。
余談になりますが・・・
このように隣人に寄りかかられた場合、
私は色々と試してみるのが好きです。
肩を持ち上げる
↓
相手の頭の位置が元に戻る
↓
再び頭が傾いてくる
↓
肩を下げる
↓
頭の位置が元に戻る
↓
いずれ再び頭が傾いてくる
↓
肩を思いっきり急激に外す
↓
反動で頭は元の位置を超え、反対側の人の肩に収まる
通常はこういった流れを楽しんでフィニッシュさせますが、
余談になりますが・・・
このように隣人に寄りかかられた場合、
私は色々と試してみるのが好きです。
肩を持ち上げる
↓
相手の頭の位置が元に戻る
↓
再び頭が傾いてくる
↓
肩を下げる
↓
頭の位置が元に戻る
↓
いずれ再び頭が傾いてくる
↓
肩を思いっきり急激に外す
↓
反動で頭は元の位置を超え、反対側の人の肩に収まる
通常はこういった流れを楽しんでフィニッシュさせますが、
それでも追い払えない場合があって、
その時は手持ちの新聞紙や冊子を棒状に丸め、
硬くなった角でコメカミを刺すように支え、
ぐらぐら揺すったり、ぐいっと突いて遊ぶことにしている。
硬くなった角でコメカミを刺すように支え、
ぐらぐら揺すったり、ぐいっと突いて遊ぶことにしている。
但し、それは極めて稀。
少しのアクションを加えてあげればたいがい頭の位置は是正されるのです。
そんな心づもりで日本海プレートの隣に座った。
そんな心づもりで日本海プレートの隣に座った。
が、プレートの威力は想像以上で、
肩を外しても、外しても、離れずについてくる。
というか、重く固着して動かない。
というか、重く固着して動かない。
「プレートテクトニクス」を自らの身体で実感している気分だ。
私の右肩は太平洋プレートであり、
地科学的にはこちらが潜り込むはずなのに
地科学的にはこちらが潜り込むはずなのに
逆に日本海プレートが覆いかぶさるように進攻してくる。
今まで経験したことのない重さ。
しかも男性ではなく女性です。
あらゆる方向に上体を動かし続けたがビクともしない。
あらゆる方向に上体を動かし続けたがビクともしない。
さっきの男性が不倫のおじさんなら、
きっと私は変態に思われてもおかしくない。
それほどくねくねと動いたがプレートは全く動じなかった。
「こりゃ勝てない。負けたな」
そう思った時に左隣の女性が下車した。
「こりゃ勝てない。負けたな」
そう思った時に左隣の女性が下車した。
そこで冒頭の場面になるのである。
・
・
・
「助かった・・・」
運よく左隣りの席が空いたので席を移動した。
ところが・・・
三十秒ぐらい経ったタイミングだったろうか、
「え~っっっ!?」
プレート女が “ふなっしー” のように跳ね上がり、
私に向かって思いっきり倒れ込んできたのである。
何? 何?
何があったの?
支点を失ってから崩壊まで三十秒。
驚愕の動きだった。
シートの二席分を一人で埋める形でプレート女は横たわっている。
・
・
・
「助かった・・・」
運よく左隣りの席が空いたので席を移動した。
ところが・・・
三十秒ぐらい経ったタイミングだったろうか、
「え~っっっ!?」
プレート女が “ふなっしー” のように跳ね上がり、
私に向かって思いっきり倒れ込んできたのである。
何? 何?
何があったの?
支点を失ってから崩壊まで三十秒。
驚愕の動きだった。
シートの二席分を一人で埋める形でプレート女は横たわっている。
普通、あの衝撃で倒れこんだら目を覚ますはずだが、
ピクリともしない。相当のツワモノです。
やがて身体が起き上がり、本来の体勢に復帰したものの
やがて身体が起き上がり、本来の体勢に復帰したものの
戻った瞬間、何と、今度は前に地すべりした!
余震です。
プレート女はメチャクチャだらしない格好になり、
通路の半分を遮るかたちになった。
車内を移動していた男性がマナーを正そうと、
プレート女の肩を叩きながら、
『足、引っ込めたほうがいいですよ』
と、声を掛け、計三回のアクションを試みたが全く反応しない。
年配の女性が空席を見つけて近づいたが、
先ほどの余震でバッグが落ちて席をふさいでいる。
女性に席を譲って私はデッキ部に移動したのだが、
離れて俯瞰して見るとプレートの崩壊振りがよく分かった。
もう一回電車が大きく揺れたら多分腰がシートから落ちるだろう。
最後まで見届けたい。
対面側のシートまでプレートが滑っていく様を見届けたい。
落ちてくれ・・・。落ちてくれ・・・。
そう念じたが、残念なことに下車駅までにそれは実現しなかった。
果たして、プレート女はあの状態でどこまで行ってしまったのだろうか?
行方が気になる。
乗客に蹴られてなくならないよう、脱げ落ちた靴は
やっぱり網棚の上にそっと載せとくべきだったかなぁ・・・。
後悔先に立たず。
自分の配慮不足が恥ずかしく思えてきた。
・・・ってか、
死ぬほど眠いのは分かるけどさぁ。
女なんだからもう少し気をつけようよ。
あんた、ショートパンツのジッパーも危ないよ(笑)
※写真は盗撮ではなく、マナー喚起のために撮影いたしました。
余震です。
プレート女はメチャクチャだらしない格好になり、
通路の半分を遮るかたちになった。
車内を移動していた男性がマナーを正そうと、
プレート女の肩を叩きながら、
『足、引っ込めたほうがいいですよ』
と、声を掛け、計三回のアクションを試みたが全く反応しない。
年配の女性が空席を見つけて近づいたが、
先ほどの余震でバッグが落ちて席をふさいでいる。
女性に席を譲って私はデッキ部に移動したのだが、
離れて俯瞰して見るとプレートの崩壊振りがよく分かった。
もう一回電車が大きく揺れたら多分腰がシートから落ちるだろう。
最後まで見届けたい。
対面側のシートまでプレートが滑っていく様を見届けたい。
落ちてくれ・・・。落ちてくれ・・・。
そう念じたが、残念なことに下車駅までにそれは実現しなかった。
果たして、プレート女はあの状態でどこまで行ってしまったのだろうか?
行方が気になる。
乗客に蹴られてなくならないよう、脱げ落ちた靴は
やっぱり網棚の上にそっと載せとくべきだったかなぁ・・・。
後悔先に立たず。
自分の配慮不足が恥ずかしく思えてきた。
・・・ってか、
死ぬほど眠いのは分かるけどさぁ。
女なんだからもう少し気をつけようよ。
あんた、ショートパンツのジッパーも危ないよ(笑)
※写真は盗撮ではなく、マナー喚起のために撮影いたしました。
あれっ!? あの人、久し振りだなぁ~。
視界に飛び込んできたタオルが気付かせてくれた。
本当はおもいっきりお茶目でカワイイ柄だと良かったのだが・・・。
今朝の通勤時のこと。
車両連結部に接する三人掛けシートの端に座り、
壁に寄りかかってぐっすり寝ているオジサンがいた。
この人には以前も全く同じシチュエーションで
出くわしたことがあるのです。
そして・・・
前回遭遇時に倣(なら)うなら、本来、冒頭の写真のタオルは
私を癒すための重要なツールとなるはずだが、
前回遭遇時に倣(なら)うなら、本来、冒頭の写真のタオルは
私を癒すための重要なツールとなるはずだが、
今日は生憎(あいにく)と、既にその仕事を終えてしまったようだ。
材質のせい? それとも 湿度のせい?
いずれにしても、
今回は一気に登りつめてしまったのだろう。
ここまでの道のりを見届けることが出来ず、残念な思いが募る。
私は吊り革にぶら下り、
少々物足りなさが残る眼下の光景を眺めながら、
およそ一年前の出来事を思い出していた・・・。
***** 以下、2011年12月21日アップ分を転載 *****
タイトル 【朝風呂】
・
今日、朝の通勤電車の車内で面白い光景を見た。
車両連結部に近い三人掛けシートの端で
オジサンが壁にもたれ掛かって居眠りをしていた。
丁度その席の前の吊り革が空いていたので歩を進める。
カバンを網棚に載せて視線を下に向けると、
オジサンは側頭部と壁との間にポップな柄の黄色いタオルを挟み、
枕代わりのクッションにしていた。
キモチ良さそうに熟睡していらっしゃる。
この時季にはちょっと寒そうなバーコードヘアだが、
派手なタオルとの組み合わせが意外とマッチしており、
微妙にカワイイ。(笑)
心地よい電車の揺れに楽しい夢をみているのだろう、
“ふっ”
“ふふっ”
オジサンの口元が何度か緩み、寝顔がニヤつく。
・
通勤電車の車内にこういう人を見つけることが出来ると嬉しい。
殺風景でサイレントな空間が一転して小劇場に変わったりするのである。
過去の経験から、このオジサンには相当な実力というか匂いを感じる。
かなりのパフォーマンスが期待できそうな気がしていた。
案の定・・・
私が下車するまでの約20分間で
オジサンの様(さま)は見事に変化していった。
眠りのレベルが高まるにつれ、
オジサンの頭は壁伝いに段々とズリ下がり、
な、な、なんと!
逆に、タオルのほうが徐々に上へ、上へとよじ登ってきたのである。
下車駅の直前では黄色いタオルは既に枕の役目を終え、
キレイに四つ折りに畳まれた状態のまま
オジサンの頭のてっぺんまで移動していた。
力学的にどのようなチカラが作用したのか全く分らないが、
タオルは完全にオジサンの頭頂部を制覇している。
サミット!
その姿はとてもフォトジェニックで
写真に残しておきたいほどだった。
電車が停車する。
バーコードの頭頂部を覆(おお)う黄色いタオルに笑いをこらえながら
網棚のバッグに手を延ばした時、オジサンの半開きになった口から
声とも安堵のため息とも取れる音が漏れた。
“ふぅ~”
夢の中・・・。
キモチよさそう・・・。
頭上に乗ったタオル・・・。
オジサンは、ちょうど今、肩まで温泉に浸かったところなんだろうと思った。
56's profile
HN:
Goro
年齢:
67
性別:
男性
誕生日:
1957/06/07
自己紹介:
東京の下町(深川)で生まれて育ちました。ギター演奏と写真撮影が趣味。神楽坂と北海道が好きです。
56's hobby 【Guitar】
ギタリストの岸部眞明さんの音楽に出会って感化され、46歳の時からギターを弾き始めました。下記のページに録音音源をアップしています。
56’s theater
*******工事中*******
趣味で撮影した写真をBGM付きのスライドショーにしています。