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2005年から書き始めたブログの別館。本編の再掲載と新しい記事を随時アップしています。
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昨日の朝の通勤時、大物キャストに遭遇。
久し振りに小劇場『電車内』で名演を堪能した。

   
   ・


「助かった・・・」

運よく左隣りの席が空いたので席を移動した。

ところが・・・



   ・
   ・

   

場面を巻き戻します。


乗車した私は、いつものように車両連結部近くの三席シートに向かった。
目の前の席は埋まっていて、左から

若い女性 → 初老の男性 → 中年の女性

今回の主役は、このうちの左端の若い女性。
以降、“日本海プレート”あるいは“プレート女”と称しているのは
この若い女性のことである。

吊り革に掴まった私の目の前で爆睡状態の日本海プレートが
初老の男性にもたれ掛かっていた。
男性は迷惑そうな視線をくれながらそれを払おうとしている。
これ自体はよくある光景です。

が、

今回は様相が違う。
男性が払っても払っても女性が微動だにしないのである。
繰り返す様子が面白くて暫く密かに笑っていたのだが、
傍目(はため)には男性の対処法が甘いようにも見えた。

が、

無理だと思ったのか、結局、男性はじきに諦めて動きを止めた。
日本海プレートは寄りかかるというより、
すでに男性の肩の上にしっかり頭を載せている状態で、
いわゆるカップルに相応しい位置関係に収まっている。
見た目には不倫男女の朝帰りである。

二つ先の駅で男性が下車。
これだけ重量を委ねていたら、
男性の肩が外れた時点で普通ならドタッと崩壊するはずである。
が、岩盤は相当に強いのか全く揺るがなかった。

プレート女の頭の傾斜角がきつく、身を入れるには危険な感じもしたが、
その威力をちょっと体験してみたくなった私は
思いきって空いた席に座ってみることにした。

余談になりますが・・・

このように隣人に寄りかかられた場合、
私は色々と試してみるのが好きです。

肩を持ち上げる
  ↓
相手の頭の位置が元に戻る
  ↓
再び頭が傾いてくる
  ↓
肩を下げる
  ↓
頭の位置が元に戻る
  ↓
いずれ再び頭が傾いてくる
  ↓
肩を思いっきり急激に外す
  ↓
反動で頭は元の位置を超え、反対側の人の肩に収まる

通常はこういった流れを楽しんでフィニッシュさせますが、
それでも追い払えない場合があって、
その時は手持ちの新聞紙や冊子を棒状に丸め、
硬くなった角でコメカミを刺すように支え、
ぐらぐら揺すったり、ぐいっと突いて遊ぶことにしている。
但し、それは極めて稀。
少しのアクションを加えてあげればたいがい頭の位置は是正されるのです。

そんな心づもりで日本海プレートの隣に座った。
が、プレートの威力は想像以上で、
肩を外しても、外しても、離れずについてくる。
というか、重く固着して動かない。
「プレートテクトニクス」を自らの身体で実感している気分だ。
私の右肩は太平洋プレートであり、
地科学的にはこちらが潜り込むはずなのに
逆に日本海プレートが覆いかぶさるように進攻してくる。
今まで経験したことのない重さ。
しかも男性ではなく女性です。

あらゆる方向に上体を動かし続けたがビクともしない。
さっきの男性が不倫のおじさんなら、
きっと私は変態に思われてもおかしくない。
それほどくねくねと動いたがプレートは全く動じなかった。

「こりゃ勝てない。負けたな」

そう思った時に左隣の女性が下車した。
そこで冒頭の場面になるのである。

   ・
   ・
   ・

「助かった・・・」

運よく左隣りの席が空いたので席を移動した。

ところが・・・

三十秒ぐらい経ったタイミングだったろうか、

「え~っっっ!?」

プレート女が “ふなっしー” のように跳ね上がり、
私に向かって思いっきり倒れ込んできたのである。

何? 何?

何があったの?

支点を失ってから崩壊まで三十秒。

驚愕の動きだった。

シートの二席分を一人で埋める形でプレート女は横たわっている。
普通、あの衝撃で倒れこんだら目を覚ますはずだが、
ピクリともしない。相当のツワモノです。

やがて身体が起き上がり、本来の体勢に復帰したものの
戻った瞬間、何と、今度は前に地すべりした!

余震です。

プレート女はメチャクチャだらしない格好になり、
通路の半分を遮るかたちになった。

車内を移動していた男性がマナーを正そうと、
プレート女の肩を叩きながら、
『足、引っ込めたほうがいいですよ』
と、声を掛け、計三回のアクションを試みたが全く反応しない。

年配の女性が空席を見つけて近づいたが、
先ほどの余震でバッグが落ちて席をふさいでいる。
女性に席を譲って私はデッキ部に移動したのだが、
離れて俯瞰して見るとプレートの崩壊振りがよく分かった。



もう一回電車が大きく揺れたら多分腰がシートから落ちるだろう。
最後まで見届けたい。
対面側のシートまでプレートが滑っていく様を見届けたい。
落ちてくれ・・・。落ちてくれ・・・。
そう念じたが、残念なことに下車駅までにそれは実現しなかった。
果たして、プレート女はあの状態でどこまで行ってしまったのだろうか?
行方が気になる。

乗客に蹴られてなくならないよう、脱げ落ちた靴は
やっぱり網棚の上にそっと載せとくべきだったかなぁ・・・。
後悔先に立たず。
自分の配慮不足が恥ずかしく思えてきた。


・・・ってか、

死ぬほど眠いのは分かるけどさぁ。
女なんだからもう少し気をつけようよ。
あんた、ショートパンツのジッパーも危ないよ(笑)



※写真は盗撮ではなく、マナー喚起のために撮影いたしました。













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東京の下町(深川)で生まれて育ちました。ギター演奏と写真撮影が趣味。神楽坂と北海道が好きです。
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ギタリストの岸部眞明さんの音楽に出会って感化され、46歳の時からギターを弾き始めました。下記のページに録音音源をアップしています。

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