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今回も先日の旅行の余談です。
道東、特に知床が気に入っており、
先日の旅行が夏・冬合わせて六度目の訪問になりました。
北海道はデフォルトで広いため、旅程は毎度忙しい。
アレもコレも・・・と、欲張って周ろうとするとどうしても駆け足になる。
そして、大抵はクルマを運転する時間の方が長くなってしまう。
斯様なこともあり “やっぱり良い処はじっくり楽しもう” と、考え方を変え
去年は落ち着いて知床五湖を一周しました。
その結果、
足早に通り過ぎていた今までなら
多分出遭えなかったかもしれない光景を目にすることもできたのです。
それで今年は、もっと "ゆっくり" "じっくり" 知床を楽しみたいと思い、
半日の貸切ツアーを予定に入れました。
今回、清流の森を案内して頂いたガイドさんは、
定番的な観光ガイドに留まらず、
お客さんの要望に相応しい場所を案内したり、
アクティビティを紹介する。
現在、知床にはそういった観点のガイドツアーが無いので
提供していきたいし、もっとメニューも増やしていきたい。
・・・ という考えをお持ちでした。
それはとても頷ける内容で、そのご意志には大いに賛同した次第。
知床を知り尽くしたガイドさんに旅行者が自分の希望を伝え、
オーダーメイドで最適のアクテビティを実現してもらえるなら、
満足感、価値感共に高まります。
すでに、一般的な見物周遊では飽き足りなくなっている
私のような観光客にとってはタイヘンにありがたいことです。
さて・・・
知床は世界でも有数のヒグマの高密度生息地です。
去年、知床五湖を巡った際、同行のガイドさん(大ベテランの方です)から
『私たちがいるこの場所から半径100メートル以内に
クマは確実にいると思われます』
と、説明がありました。
スタートゲートを抜けた直後の遊歩道に足跡が残っていたこともあり、
そのお話はとてもリアルだったのですが、
大げさではなく、実際に知床はそういう場所なんだと実感します。
人間の生活圏とヒグマの活動圏は近接している。
見たこともない景観を楽しみたい、
滅多に出来ないことを楽しみたい、
これらを実現しようと思うと、ヒグマの棲む領域にお邪魔することが多くなり、
当然、彼らと遭遇する確率も高まることになります。
「キャ~ッ♪」と喜んで遠くに見えるヒグマを写真に収めるのとは
全く違う状況に身を置くことになるワケです。
もともと私はアウトドアよりもインドア志向のタイプなので
一人で森に入って行くようなことはありませんが、
たとえガイドさん同行であったとしても、
本当にヒグマが至近距離で登場したことを想像すると、
そりゃ、やっぱり恐いです。
森を散策中、そのあたりをガイドさんに訊いてみたところ
なかなか興味深い話が伺えました。
「今まで、ヒグマと最接近した距離ってどれくらいですか?」
すると・・・
『3メートルです』
と、あっさり答えが返ってきました(笑)
3メートル!? 3メートルですよ!
ガイドさんが話してくれたその場面は・・・
最初、30メートルぐらい離れたところにいるのを見つけた。
動向に注意していたところ、クマが急に自分に向かって突進してきたので
咄嗟に近くの立ち木の陰に身を隠した。(熊とストレートに対峙しないよう
障壁を作ることが重要なんだそうです) そして、目の前にいる
クマに向けてクマスプレーを放射して撃退した。
それはガイドになったばかりの時だったそうで、
『撃退した後、確かに足はガタガタ震え、心臓はバクバクしていましたが
振り返ってみて、無意識の内に冷静に対処していた自分に気づきました。
自分でも意外だったんですが、それで、あぁ、これならガイドとして
やっていけるな、と自信がつきました』
こう、淡々とおっしゃる。
凄いなぁと、素直に感心しました。
それは天性のもののようにも思いますが、
知床でプロのガイドさんになるには、頭で考える前に動物的に反応し、
且つ、自らを客観的にコントロールする能力というか、素質みたいなものを
備えていないと厳しいんでしょうね。
もう一つ興味を持っていたことがあったので、それも訊いてみました。
「知床には多くのガイドさんがいるんでしょうけれど、
実際のシーンでクマスプレーを使ったことのある方って
何人ぐらいいらっしゃるんですかね?」
『●人ですね』
私はこれからも知床でアクテビティを楽しむと思いますが、
もう、ずっと今回のガイドさんにお願いすることに決めました(笑)
【補足①】
「●人」以外の皆さんもきちんと訓練を受けておられるので、
知床のガイドさんはどなたでも頼りになります。
ご安心ください。
【補足②】
本来、クマは人間を恐れていて、存在を知らしめることで
彼らの方から離れていきますが、
もし、不運にも双方が気付かずに出くわしてしまったら・・・。
雑学的にも興味深い 『ヒグマ対処法』です。
http://www.shiretoko.or.jp/bear/index.htm